マンション売却時の消費税と注意点
そもそも消費税とは、物を購入するときに徴収される税金であり、法人が物を売るときに徴収し、それをまとめて法人が納税するものです。
なので、結論からいうと、個人が今まで住んでいたマンションを売却する場合には、消費税の徴収は必要ありません。
法人が不動産を売却する場合には、土地は非課税なものの、建物には消費税が課税されますが、個人が住居用としていたマンションを売却する場合には、売却価格に消費税分を含ませる必要はありません。
マンション売却に関わる消費税の確認
【土地は非課税】
消費税法において、土地の売却は非課税扱いです。
土地の譲渡は、資本の移転であり、消費されるものではないとの考え方です。
よって、土地の取引には消費税は課税されません。
【建物は課税】
売り主が法人(不動産会社や課税事業者)の場合は課税されます。
売り主が個人の場合は非課税です。
【不動産価格は総額表示方式】
価格表示については、「消費税転嫁対策特別措置法」の施行によって、事業者の値札の貼り替えなどの事務負担に配慮する観点から、表示価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていれば「税込価格」を表示しなくてもよいとする特例が設けられました(平成30年9月30日まで)。ただし、消費者への配慮の観点から、できるだけ速やかに「税込価格」を表示するよう努めることとされています。
しかし、不動産の価格表示については、「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第10条(34)(38)で、消費税及び地方消費税が課されるときは、その額を含めて表示することとなっており、「消費税転嫁対策特別措置法」施行後も改正されてはいないので、不動産公正取引協議会は、消費税額を含んだ総額を表示するよう指導しています。
よって、不動産価格は、総額表示(消費税及び地方消費税が課される場合は、その額を含んでいる)と考えてください。
マンション売却価格における消費税の注意点
【売却物件が個人なのか法人なのかグレーな場合】
会社勤めをしている個人が、今まで自分が住んでいたマンションを売却する場合は、明らかに個人の物件なので、売却価格に消費税を含める必要はありません。
また、会社を経営していても、自分の自宅マンション(住居として住んでいたマンション)を売却する場合には、消費税を徴収する必要はありません。
問題なのは、個人と事業者の区別がつきにくい場合、例えば、個人が賃貸用のマンションを売却する場合には、土地は非課税ですが、建物は課税対象となります。
また、個人といいつつ事務所や工場、テナント物件として使われていた物件を売却する場合には、これらの建物が事業収入において使用されていたと考えられる場合には課税対象となりえます。
これら消費税の課税対象となるかどうかがグレー(自分で判断できない)な場合は、専門家への相談が必要です。
仲介の不動産会社や税理士など専門家のアドバイスを仰ぎましょう。
【マンション売却額は仲介手数料に影響する】
マンション売却の建物部分に消費税が含まれるかどうかは、仲介手数料の計算に影響しますので、注意が必要です。
売り主が個人で、個人の居住用マンションを売却する場合には、売却価格に消費税分は含まれませんので、特に問題ありません。
→が、念のため、売却価格に消費税が含まれていないことを確認しておきましょう。
→消費税が含まれていれば、仲介の不動産会社に理由を確認し、消費税が必要なければ売却価格の見直し(消費税分を差し引くのかなど)をしましょう。
売り主が個人であっても事業用として使っていたマンションの売却(賃貸用マンションの売却など)の場合は、売却価格に建物分の消費税が含まれています(不動産の価格表示は総額表示のため)。
よって、仲介手数料の計算の際、この消費税分を売却価格の金額から除いた上で計算しないと余分に仲介手数料を支払うことになります。
仲介手数料の計算をおさらいしましょう。
- 仲介手数料を算出する基礎となる売却価格は、消費税を含まない
- 200万円以下の部分 → 200万円×5.4%
- 200万円超400万円までの部分 → 200万円×4.32%
- 400万円を超える金額 → (売買価格-400)万円×3.24%
- (上記の簡易計算式→売買価格×3.24%+6.48万円)
よって、まず「建物の税抜価格」を算出してから、仲介手数料の計算をしましょう(なお、仲介手数料には消費税が含まれます。税抜き5%だが、税込だと5.4%となる)