マンション売却の不動産会社選びガイド(詳細)

マンション売却において、不動産会社選びは重要です。

なるべくコストを抑えるために、不動産会社に仲介を依頼せず、自分で売却したいと思う人もいるかもしれません。しかし、こちらの「不動産売却の手順」にある通り、段取りも多く、また基本的に法律(宅地建物取引先業法)に則って取引しなければならないので、一般の人が自分で不動産を売却することには無理があります。

では、どの不動産会社に依頼したらよいのでしょうか?

「大手」?「地元の中小不動産会社」?「知り合いの不動産会社」?というだけで決めてしまいがちかもしれません。
しかし、不動産というのは同じ広さであっても、築年数や日当たりや階数、駅からの近さ、周囲の環境(学校や公共施設など)、マンションの管理状況などの「個別性」が高いものです。

また、なぜマンションを売りに出したいのか、いつまでに?、引っ越し先は決まっているのか、ローンの残金は?など売り主の状況に合わせて、時間がかかってもなるべく高く売るのか、それとも早く売らなければならないのかなど、販売方針も変わってくるものです。

よって、売りに出すマンションの個別性や、売り主であるあなたの希望をよく考慮してくれる不動産会社・担当者を探しましょう。

以下のポイントを参考に、「売却する物件=マンションに適した」、売り主の希望をよく「聞いて」「最適な販売活動」を行ってくれる不動産会社・担当者を選んでください。

1.不動産会社は何をしてくれるのかを確認しよう

まず、不動産会社はマンション売却において何をしてくれるのでしょうか?
一般的に、不動産会社が仲介業務で提供するサービスは以下のようなものです。

  • 物件価格の査定と、売り出し価格決定の支援
  • 販売活動(物件調査、広告宣伝、指定流通機構への登録、購入希望者の探索)
  • 売買価格やその他の条件について、購入希望者と調整・交渉を行う
  • 買い主への物件説明(重要事項説明)
  • 売買契約の締結(売買契約書の作成と手続など)
  • 物件の引き渡し(現地立ち合いによる確認、引き渡し手続き)
  • 代金・費用の決済
  • その他、不動産取引に関する相談全般

売買成立後に不動産会社に支払う仲介手数料はこれらの業務に対する対価です。サービスの詳細内容は不動産会社によって違うので、特に広告宣伝の方法と活動報告については確認しましょう。

ちなみに、売り主がすべきこともあります。

瑕疵の申告と対処

瑕疵とは、マンションの場合、設備の故障など(窓ガラスのひびや、室内の汚れ、床の傾きなど)の物件の欠陥のことです。 売却物件にこのような瑕疵がある場合、瑕疵の内容を明確にしたうえで売却する必要があります。これは、売り主の義務です。

瑕疵については、最終的に買い主への重要事項説明書に記載します。ここに記載のない場合、損害賠償や契約解除になってしまう場合もあるので注意が必要です。

また、瑕疵への対応によっては、売却の諸費用や売却価格に影響する可能性があります。

売却価格の決定

査定価格=売却価格と思っている方が多いかもしれませんが、必ずしもそうしなければならないわけではありません。売却価格は、売り主の希望売却価格と不動産会社の査定価格をベースに、 売却までのスケジュールや売却後に必要な資金などを考慮して、最終的には売り主が決定します。

内覧の準備

物件に関心のある依頼者が現れると、早々にも不動産会社が内覧に連れてきます。チャンスを逃さぬよう、いつ内覧者が来ても良いように日頃から準備しておきましょう。

2.不動産会社の基本情報をチェックする

①免許番号の更新回数で営業年数を確認

不動産の売買・仲介を行うためには、宅地建物取引業の免許が必要です。複数の都道府県に事務所・支店を持つ会社は国土交通大臣の免許、1つの都道府県のみの場合は、都道府県知事の免許となります。

宅地建物取引業の免許番号は、①免許権者 ②更新回数 ③番号となっていて、()書きの部分が更新回数。免許は5年ごとに更新される(平成8年3月以前は3年毎)ので、()の更新回数に5年をかけたものが営業年数の目安です。免許の更新回数が多い会社は、営業歴が長く一定の経験を有すると判断できます。営業年数が長い会社がよくて、短いとよくないとは言い切れませんが、まずは参考として確認しておきましょう。

②業界団体加盟の有無

不動産流通業界の業界団体では、会員業者の育成・指導・業務支援を行うとともに、消費者からの苦情相談も行っています。業界団体に所属しているということは、横のつながりを持っている、業界の最新情報も入手している会社と言えます。

主な業界団体

公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会
http://www.zentaku.or.jp/

一般社団法人 不動産流通経営協会
http://www.homenavi.or.jp/frk/

公益社団法人 全日本不動産協会
http://www.zennichi.or.jp/

一般社団法人 全国住宅産業協会
http://www.zenjukyo.jp/

一般社団法人 不動産協会
http://www.fdk.or.jp/

確認方法は、チラシやホームページなどの会社名や免許番号の近くに加盟団体が記載されていることが多いです。

3.大手の不動産会社がいいの?

大手不動産会社と中小不動産会社の違いは「情報量の多さ」と思われる方が多いかもしれません。が、現在は「レインズ」という全国の不動産情報が集まるネットワークを利用することで、自社が扱う不動産だけでなく全国の不動産情報がわかるため、情報量の差はありません。特に、専任専属もしくは専任媒介契約を結んだ場合は、物件をレインズへ登録することが義務付けされているので、あなたの物件は全国の不動産会社が検索することが可能になります。
レインズについてはこちら→「レインズ
媒介契約についてはこちら→「媒介契約について(詳細)

なので、近年は大手か中小かで善し悪しがあるとは言えません。強いてあげれば、大手不動産会社の場合は、全国に支社支店があるので、今住んでいる場所から離れた物件を売却したい場合、支店間のネットワークをつかったコミュニケーションが取れるかもしれません。また地元の不動産屋さんは、近隣の情報に詳しいので、ライバルとなるマンション情報をよく知っていたり、対策を立てやすいかもしれません。

結局は「会社」ではなく「担当者」が重要なのですが、査定を依頼する際には、大手不動産会社と地元の中小不動産会社の両方を入れて、違いやメリット・デメリットを見極めるのもよいでしょう。

複数の不動産会社に査定を依頼するのは、一括査定サイトが便利です→「おすすめの不動産一括査定サイト(無料)

4.マンション売却が得意な会社を選ぶ

不動産の売買には「宅地建物取引業免許」が必要ですが、この免許があれば、マンション売買から土地・一戸建ての売買(媒介含む)、住宅用賃貸、事業用賃貸までほとんどの事業を行うことができます。

しかし、マンション売買と、賃貸業では業務の段取りがかなり異なります。賃貸が得意な不動産会社にマンション売却の仲介を依頼するのは無謀です。

マンション売却用の一括査定サイトなどを使って不動産会社を探す場合には、マンション売却が得意な不動産会社ばかりなので大丈夫ですが、念のため、ホームページなどでマンション売買が得意かどうかを確かめておきましょう。

マンション売却が得意な会社の見極めかた
・チラシにマンション物件が多い不動産会社。チラシに載っている物件に中古マンションが多い会社は、マンション売却が得意だと考えられます。収益用マンションや賃貸物件を中心に載せている会社は避けた方がよさそうです。

・店頭に行く機会があれば、マンション物件が目立つところにあるか確認しましょう。ここでも、マンションより賃貸物件が目立つようでしたら、賃貸に強い不動産会社のなので避けた方がよいでしょう。

・ホームページがあれば、トップページにマンション売却があるかどうかが目安です。目立つ取引の順番が得意な順番。不動産仲介業務の大手のホームページをみると、マンションもしくは一戸建ての購入・売却の順に目立つメニューになっていますが、会社毎にマンションが中心か一戸建てか違いますし、大抵はマンション購入メニューが一番目立つのですが、売却が一番目立つ会社だってあります。投資・事業用不動産や賃貸借の取扱いも会社によって異なります。

・大手でなくても、やはりホームページがあるといいですし、情報が古くないか、扱っている物件は中古マンションの売買が多いかなどがチェックポイントです。

5.候補の不動産会社を複数社選び、簡易査定を依頼する。そのやり取りで会社の雰囲気や担当者の姿勢を見る

ホームページの情報だけで1社に絞ることは難しいと思うので、こちらでは一括査定サイトを活用して複数の会社に簡易査定を依頼することをお勧めしています。

その理由は、基本的にマンション売却に長けている不動産会社が査定に参加していることと、1度の情報提供で複数社に依頼ができる利便性です。

回答方法は、メール・電話など選択が可能です。そのやり取りの中で、不動産会社の雰囲気や担当者の姿勢がうかがえるはずなので、この先の販売活動を一緒にやっていけそうな会社・担当者をさらに絞りましょう。

まず、「依頼した回答方法」で、「どれくらいのレスポンス」で回答が返ってくるでしょうか。

メールでの回答を依頼したのに電話がかかってきたり、大体の会社は1日で回答があったのに対し、1社だけ遅かったりした場合は、?マークが付きますよね。

気になる点があれば、電話で質問してみるのもよいかもしれません。その際の対応が感じのよいものか、不動産売買に詳しくない顧客にわかりやすく話してくれるかなども確認できますね。

これらのやり取りでふるいにかけた後、いよいよ詳細の査定を依頼しましょう。

6.詳細査定(訪問査定)で担当者を見極める。

詳細な査定では、実際に物件を見てもらって、物件の個別性を確認した上で査定価格を算定してもらうことになります。実際の担当者と会うことになるのですから、この先大事なマンション売却を一緒にやっていけそうな人かどうか見極める必要があります。

社会人としてきちんとしているかどうか

これはどんな取引だろうと基本中の基本です。第一印象で感じが悪くないか、服装がきちんとしているか。感じ方は人それぞれなので、どのレベルまでが許容範囲かは自分の尺度でよいと思いますが、この先、お金に関わる深い話もしていかなければならない相手です。

マンション売却に詳しくないあなたが頻繁に会い、話す相手ですので、不快な点・引っかかることがないかちゃんと見極めましょう。不動産会社の担当者としても、初めて会うお客様にちゃんと信頼してもらえる準備をしてくるのは当たり前ですので、遠慮はいりません。

売り主の話を聞く姿勢があるか、わかりやすく説明してくれるかどうか

売り主は、不動産売却が初めてである場合がほとんどでしょう。買うとき以上にわからないことが多くて不安でいっぱいなはずです。

物件の詳細の説明を聞かずにさぁっと見ただけで査定金額を出したり、査定金額の根拠を聞いてもちゃんと説明してくれなかったり、専門用語ばかりでわかりにくい説明だったりしたら納得できませんよね。

売り主であるあなたの状況や希望をちゃんと聞きだし、説明した内容を売り主が理解できているか、理解できるように説明を務めているかといった姿勢が大事でしょう。

うまくコミュニケーションがとれる相手であるのかは重要で、これも不動産取引に限ったことではないのですが、専門用語だけは、わからないことがあればうやむやにせず、ちゃんと説明を促すこと、また説明してくれる相手であることを確認しましょう。

「安請け合い」「素人が。。。」といった態度をとったらNG

売り主からの疑問・質問に対して、あまり考えもせずに「知ってますよ」「任せてください」と言ったり、その根拠を示さなかったり、「お客様は素人なので。。」という態度をとる担当者はNGでしょう。

質問に即答することがすなわち優秀とはなりません。質問・疑問の意図を理解して、お客様の納得できる回答をすること、わからなければ持ち帰って後日回答することも誠実な対応です。

宅地建物取引先主任者であるかどうか

資格は持っていればよいというものではないので、この条件は1番ではないのですが、査定という大切なポイントで有資格者を差し向けてくるということはあなたの物件への優先度を示す1つでもあります(なお、宅地建物取引先主任者でないとできない仕事は「重要事項説明の実施」「重要事項説明書への記名・押印」「37条書面(売買契約書のこと)への記名・押印」なので、査定自体は、宅地建物取引先主任者でなくでも可能です)。

なので、査定の最後にこの質問をしてみましょう。また、有資格者であれば、今後も担当してもらえるのか念を押して聞いておきましょう。

7.知り合いだからという理由で依頼するのは危険

マンション売却にあたって、初めてで不安だし知り合いだと安心と思うかもしれませんが、これは全くお勧めできません。お知り合いの不動産屋さんはマンション売却が得意ですか?だとしても、査定金額や販売方法に納得いかない場合に冷静に交渉できますか?

知り合いだからこそ、言いにくかったり、お願いしにくかったりするものです。

8.両手仲介・買取保証に注意

両手仲介とは、1物件の売り手と買い手の仲介不動産会社が同じになることで、その不動産会社には売り手からの仲介手数料と買い手からの仲介手数料の両方が入ることを言います。

このこと自体はおかしいことではなくて、タイミングよく同じ不動産会社にあなたの物件を希望する買い主が現れれば、何ら問題はありません。

ただ、通常は、レインズに物件が載って以降は、別の不動産会社の依頼主があなたの物件に興味があれば内覧に訪れることも多いはずで、そのようにしてたくさんの内覧があって、売却は進むもの。

あまりに内覧が少なかったり、インターネット情報の広告が広く掲載されていなかったりする場合は、あなたが依頼した仲介不動産会社が両手仲介を狙って販路を狭めていたり、内覧を断っていたりするかもしれないので、販売活動には注意を払い、活動内容の報告をチェックして、希望があればきちんと伝えましょう。

また、買取保証とは、早く売却する必要がある場合などに一定の期間は一般に売り出すものの売れなかった場合は不動産会社が直接その物件を購入するという制度です。

ただし、売却金額は一般に売却するよりも安くなります。不動産会社は安く買って利益を乗せて売らなければ商売にならないからです。

買取保証はすべての不動産会社が行っているわけではないので、確認が必要ですし、売却を依頼する会社に買取も依頼するのではなく、買取は別の会社に依頼するのがよいでしょう。

同じ会社に最初から買取保証ありきで依頼すると、一般への売却がうまく進まない場合にいろいろな疑念も浮かんできてしまいます(買取のほうが不動産会社の都合がいいのか?など)。

一刻を争って早く売却する必要があるといっても、希望の金額よりはるかに安く売ってしまうことはできないでしょう。納得できる金額で売れる方法をなるべく探しましょう。

マンションを買う時以上にわからないことが多いのが売却。

後悔のない売却をするには、マンション売却に長けた、売り主であるあなたの状況・希望を理解しながら適切な販売活動をしてくれるパートナ=不動産会社・担当者を選んでください

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