設備表(付帯設備表 区分所有建物用の例)について

設備表とは

売買物件の設備に関する状況が売買契約締結時にどのような状態なのか、どのような状態で買い主に引き渡すかを明確にする文書であり、物件状況等報告書とともに用いられます。
記載内容については、買い主だけではなく、購入希望者に参考情報として提供される場合もあります。

なぜ必要なのか、なぜ重要なのか

これも物件状況等報告書と同じ理由で、物件の設備の状態を買い主に説明し、買い主もそれを了解した上で取引しないと後々トラブルのもととなるからです。
設備表も物件状況等報告書と同じく、一般社団法人不動産流通経営協会(FRK)が作成した標準書式に則った文書になっている場合が多いです。
「主要設備」(給湯関係・水廻り関係・空調関係など)と「その他の設備」に区分されています。
売り主は「主要設備」で「故障・不具合」欄に「無」とした「主要設備」にかぎり、使用可能な状態で引き渡すとともに、引き渡し完了日から7日以内に、買い主から請求を受けた故障・不具合の修復義務を負います。
また売り主は、「主要設備」のうち「故障・不具合」欄に「有」とした設備と、「その他の設備」については、故障・不具合があったとしても修復義務を負いません。しかし引き渡し後のトラブルを防止するため、故障・不具合がある場合は、その状況を備考欄に記入します。また、使用不能な設備については、買い主の意向で撤去が必要となる場合があります。
また、買い主へ引き渡す「主要設備」「その他の設備」について、売り主は引き渡しが完了するまでの間は、契約時の状況を保持するよう努めなければなりません。

設備表の記入ー記入の全般的な留意点

1.各設備の有無を明確にします
「設備の有無」は、売買物件を”引き渡す時点”においての状況を記入するものであり、売買契約締結時の状況を記入するものではありません。したがって、売買契約時には存在していた設備でも、引き渡しまでの間に撤去してしまう設備については、「無」に○をつけます。撤去してしまうものがある場合には、設備があった場所の撤去後の状況についても記入します。
また、設備毎に主な付帯機能や設置場所を記載するので、該当するものに○を付けます。記載されていない設備や付帯機能があれば書き加えます。

2.故障・不具合の有無を明確にします。
引き渡す「主要設備」については、売買契約締結時に故障または不具合がある場合は「有」に○をつけ、その内容を「故障・不具合の箇所および具体的内容」欄に記入します。故障・不具合がない場合は、「無」に○を付けます。
引き渡す「その他の設備」については、買い主に説明を要すると思われる故障または不具合がある場合は、その内容を「備考」欄に記入します。なお、「その他の設備」の「備考」欄に故障・不具合の記入がない場合、その設備は故障や不具合が特段ないことを意味しますので、その点を十分理解の上、故障・不具合について記入漏れのないよう、注意してください。

3.故障・不具合の箇所および具体的内容
引き渡す「主要設備」で「故障・不具合」欄で「有」としたものについては、どの程度使用できるのか、どのような不具合があるのか、その状態を詳しく記入します。また、設備を使用するうえで、買い主に伝えておいた方がよいと思われる事項について記入します。

設備表の記入-主要設備について

1.給湯関係
給湯器
→(電気・ガス・石油)(個別・全館集中)
→給湯箇所:台所・浴室・洗面所
バランス釜
※給湯関係は、引き渡し後買い主から不具合の申し出が多い項目です。できれば使用年数等を記入して、引き渡し後買い主が当該設備を保守上で参考となるようにしてください。特に長期間にわたり使用していなかった場合は、引き渡し前に点検をしましょう。また、凍結の可能性がある設備については、水抜き等の処理をしてください。
取扱い説明書、使用説明書、保証書等があれば、引き渡し時に買い主に引き継げるよう準備をしておいてください。
2.水廻り関係
厨房設備(台所セット)
・流し台
・コンロ(電気・ガス)、グリル
・レンジフード(換気扇)
・オーブン、オーブンレンジ(電気・ガス)
・浄水機
・食器洗い機
浴室設備
・シャワー
・追焚き、足し湯、保温
・浴室内乾燥
洗面設備
・鏡、シャワー、コンセント、くもり止め
トイレ設備
・保温、洗浄、乾燥
洗濯用防水パン
・洗面所
※付帯機能がいくつか挙げられていますが、これらは台所セットに組み込まれているもののことで、一台ごとの電化製品のことではありません。各種設備については、長期間の使用等に伴う性能の劣化・不具合があれば具体的にその現象等を記入してください。特に長期間にわたり使用していなかった場合は、引き渡し前に点検をしましょう。また、凍結の可能性がある設備については、水抜き等の処理をしてください。
※洗面設備については、ひび割れ等を記入します。
3.空調関係
冷暖房機(電気・ガス)
冷房機(電気・ガス)(個別・全館集中)
暖房機(電気・ガス・石油)
床暖房設備(電気・ガス)(個別・全館集中)
換気扇
24時間換気システム
※設備名称の中のカッコ内の「電気」、「ガス」、「石油」等は、当該設備の熱源を表していて、該当するものに○をします。
※本項目も引き渡し後買い主から不具合の申し出が多い項目です。できれば使用年数等を記入して引き渡し後買い主が当該設備を保守上で参考となるようにします。特に長期間にわたり使用していなかった場合は、引き渡し前に点検をしましょう。
※設置場所は、その設備が設置されている場所のことで、スイッチの場所ではありません。
4.その他
インターフォン
・TVモニター機能
ドアチャイム

設備表の記入-その他の設備

1.照明関係
照明器具→撤去する照明器具
※引き渡す照明器具に、球切れやスイッチの故障などがあれば「備考」の欄に記入します。
※撤去するものがある場合、その設置された場所(例:リビング)を記入します。
2.収納関係
食器棚
つり戸棚→設置場所:台所、洗面所、トイレ
床下収納→設置場所
下駄箱
※原則として、造り付けでない家具は含まれません。箪笥や金庫などで不要となったものは、売り主の責任で処分します。
※各設備について、設置場所のほか、不具合があれば備考に記入します。

3.建具関係
網戸
雨戸
戸・扉
ふすま
障子

※建具については、有無だけでなく、使用上の不具合箇所の有無も重要です。建具自体の歪みや窓ガラスの割れている箇所、網戸やふすまの破れなどについて記入します。
※溝があるのに網戸が入っていない場合の網戸や、間仕切りの戸を取り払って2室を1室のように使用していた場合の戸がどこにあるか、あらかじめ確認しておきましょう。

4.その他
TV共視聴設備→衛星アンテナ(有無と単独か共同か)(BS・CS)
カーテンレール
カーテン
物干し

設備表の記入-消費生活用製品安全法にもとづく「特定保守製品」

特定保守製品の有無→製品の種類と設置場所

設備についての注意点

設備表についても、物件状況等報告書同様、署名・捺印を行います。つまり、記入した内容に対し、責任を負うことになるということを十分理解してください。
注意すべきは、「引き渡す設備は必ず動かして故障していないか確認する」「絶対に故障していないと確信できない設備は、設備表に壊れる可能性があって責任が持てない旨を書く」ことです。

例えば、設備表で故障なしとしていたエアコンが、引き渡し後使用したら壊れていた、となった場合、売買契約書で瑕疵期間が「引き渡し後2週間以内の故障」となっていた場合でも、売り主は修繕の義務があります。
ありがちなのは、トイレの便座。夏は温かくしておらず、引き渡し後、買い主が機能をオンにしたところ、暖かくならない。など、引き渡し前の季節で使わない設備などは要注意です。
このような事態を避けるためには、引き渡すとした設備は必ず動かしてみて、故障していないか確認しましょう。特に空き家であった物件では必須です。
そして、設備表を作成する前と実際に引き渡す前の2回確認しましょう。設備表を作成するのは一般的に媒介契約を締結する時です。媒介契約時点から実際に物件が売却できて引き渡すまでには期間が開きます。なので、引き渡す前にも再度故障していないか一通り確認しましょう。

また、設備表の作成時点で動かしてみて、その時点では故障していないけれども、あまりに古いので故障しないとは限らないような「怪しい」設備については、壊れる可能性があって責任が持てない旨を書くようにしましょう。古いエアコン、ガス給湯器など、使用年数なども記入の上、引き渡し後の責任が持てないものについては宣言をするようにしましょう。
もちろん、売買契約時の条件交渉の対象になる可能性はありますが、物件引き渡し後のトラブルでは、設備についてが最も多いので、このことを念頭に設備表を作成しましょう。

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