マンション売却のコツ 相場に合った価格設定
中古マンションが売れない原因は、相場に見合わない価格であることが多いです。
マンションを早く・高く売るためには、周辺の相場価格を知って、適性な価格設定をすることが重要です。
そうは言っても、マンションを売却する理由や、資金状況によってこの金額で売れたらいいなという希望があるのが実際です。
よって、以下の手順を参考に、早く高く確実にマンションを売却するための価格設定をしましょう。
早く高く売る売却価格の設定手順
マンション売却では、よほど良い条件の物件であればともかく、いろいろな問題が発生してきます。
面倒でも以下の手順で、売却価格に関する様々な問題(売れない、値引き交渉など)に対応できるよう準備しましょう
1. マンション売却の目的・スケジュール・資金状況を整理する
2. 周辺の相場を把握する
3. 自分の置かれた状況で価格のパターンを想定する
4. 「査定額」「売却希望額」「最低売却価格」を設定する
5. 価格は売却スケジュールとセットで考える
1. マンション売却の目的・スケジュール・資金状況を整理する
売却の目的・スケジュール・資金状況を整理することが必要かというと、条件を整理することで、「いつまでにいくらで売りたいのか」 「いくらまでなら値下げ可能なのか」といった道筋を立てることができます。いわば、マンション売却の戦略立案のスタートです。
まずは、売却の理由は何でしょうか
- 転勤や子供の通学・成長に伴う住み替え
- 住宅ローン解消のための売却
- 今は居住していないが相続したマンションの売却
など、様々な理由があると思います。この理由について更に考えていくと、
- 新居の購入、移転に必要な費用はいくらか
- 引っ越しの時期、いつまでに新居に移る必要があるか
- ローンの残額がどれくらいあるか
- 売却による資金をどれくらい残したいか
といった、売却価格に関わる希望条件も洗い出せます。
また、資金状況(ローンの残額・預貯金額など)も重要な確認事項です
これらの状況・条件を整理していくと、
- 希望の売却価格
- 売却のスケジュール(いつまでに売りたい、いつまでに引っ越したいなど)
- 新居が必要な場合は、購入するのか貸借するのか
- 場合によっては、売却ではなく賃貸や任意売却を検討するか
など、様々な希望条件が明確になってきます。
自分の希望通りに売却できればよいのですが、なかなかそうはいかないのがマンションの売却です。
各条件の幅や譲れる範囲も検討しておくことで、仲介の不動産会社と詳細の相談・検討をしていくためのベースにもなり、納得のいく売却ストーリを立てていけるでしょう。
2. 周辺の相場を把握する
次に売却物件の相場を把握しましょう。
不動産(マンション)は、面積や方位・階数・間取り・築年数・管理方法などそれぞれが様々な条件をもっているので、価格に正解はないと言えますが、まずは一般的に入手しやすい下記の情報でおおよその希望売却価格を想定しましょう。
- インターネット広告や大手の中古物件仲介サイト
goo住宅・不動産 http://house.goo.ne.jp/buy/
Yahoo不動産 http://used.realestate.yahoo.co.jp/mansion/03/
ホームズ http://www.homes.co.jp/mansion/chuko/
アットホーム http://www.athome.co.jp/sell/12/
SUUMO http://suumo.jp/ms/chuko/
物件のある地域で検索し、同じような条件(広さ・築年数など)のマンションがいくらで売られているか - チラシ
近隣物件の売り出し価格や、どんな不動産会社が近隣のどんな物件を扱っているかをみておきましょう。
上記のような方法で得た情報について、「価格÷面積(㎡)」で、1㎡あたりの単価を計算し、あなたのマンションの面積をかけてみてください。これが、相場の参考価格になります。
例えば、あなたのマンションの近所で、80㎡のマンションが3200万で売られていたとして、売却予定のマンションが65㎡だとすると、3200÷80×65=2600万円という参考価格になります。
もちろん、あくまでも参考価格です。この通りの金額が査定金額になるとか、売却金額になるとは限りません。チラシやインターネットで得た情報は売り出し価格であって、売却価格とは限りませんし、上記の計算以外に「経過年数(築年数)」や方位などの細かい指標によって価格は変わってきます。
しかし、不動産会社のつけた査定価格が適切かどうかの判断がある程度できるようになるためにも、まずは自分で情報収集し、おおよその売却価格の想定、相場感をつかんでおきましょう
3. 自分の置かれた状況で価格のパターンを想定する
売却価格の決め方は売り主の状況によっても変わってきます。
①早く売りたい場合
・買い替えの物件が決まっていて、なるべく早く売却したい場合は、売却価格は相場通りの価格もしくは相場よりやや安めで売り出す→物件の条件が良い(駅から近い、新築時に人気が高かったなど)場合は、初めから安くする必要はなく、まず相場通りの価格で開始できるでしょう。逆に駅から遠い・古いといった条件の悪い物件は、相場より安めの価格でお得感を出すことで早く売れる可能性があります。
②時間はかかってもいいから高く売りたい
・売却の期限が特にない場合は、相場の金額や不動産会社が出した査定金額に対して、自分の希望する売却金額に近づけた金額で売り出すことが可能でしょう。
一般的には上記の通りですが、実際の売却では、不動産会社の査定金額が自分で調べた相場感より低かったり、買い主からの値下げ交渉があったりして思い通りの金額にはならないでしょう。そういった状況を予想して、いくつかの「価格パターン」を決めていきましょう。
4. 「査定額」「売却希望額」「最低売却価格」を設定する
実際の売却にあたっては、3つの価格パターンを用意しましょう。
不動産会社が出す「査定額」、売り主であるあなたの希望額「売却希望額」、売り主としてここまでは下げられるという「最低売却価格」です。
まずは売り主であるあなたの状況から「売却希望額」と「最低売却価格」を想定しましょう。
①売却希望額
・売り主であるあなたが「この金額で売りたい」と思う希望の金額です。
・現在のマンションの住宅ローンの残債金額や、新居の購入金額などがベースとなるでしょう。
・例えば、現在のローン残債が2300万円あり、手持ちの資金が200万としましょう。相場の参考価格は2.で把握した2600万として、仲介手数料などを含む諸費用の概算が120万。新居の頭金が300万の予定です。手持ちの資金を残す場合は、ローン残債2300万+諸費用120万+新居頭金300万=2720万が希望価格となりますが、相場より120万高くなります。
ですが、手持ち資金の200万を考慮すると、相場参考価格の2600万での売り出しも可能(手持ち残金80万)です。
②最低売却価格
・売り主として、最低限ここまでなら価格を下げられるという金額です。住宅ローンの残債金額と諸費用がベースとなります。
・①の例ですと、住宅ローン残債が2300万+諸費用120万の2420万が本当の最低限となりますが、新居の頭金300万を考慮すると手持ち資金が200万なので、できれば2520万までで売りたいということになります。また、新居の頭金を減らすなどの調整ができればさらに最低売却価格を下げることもできますが、それはスケジュール通り売れなかった場合の対策として考えておきましょう。
③査定額
・不動産会社が、これまでの取引事例や周辺地域の相場、各社の指標を基に割り出すのが「査定額」です。これは、不動産会社がこの金額であれば売れると考える金額です。不動産会社によって査定金額は異なります。一括査定サイトなどを利用して、各社から査定金額を取りましょう。
※おすすめの不動産一括査定サイト
※マンション売却の不動産会社選びガイド
もちろん査定額は、自分が想定していた金額とは異なるので、査定額がでたら、上記の要領で「売却希望額」と「最低売却価格」を計算しておきましょう。
必ずしも査定額=売却価格ではありません。売却価格は最終的には売り主が決めるものです。
一刻でも早く売らなければならないのであれば、「査定額」で売り出してもいいですし、時間が許すのであれば、じっくりと「売却希望額」で購入してくれる買い主を探しても良いのです。
不動産会社のアドバイスを参考にしつつも、大事な売却金額の決定ですから、自分の意見もしっかり出しつつ、納得のいく金額にしましょう。
5. 価格は売却スケジュールとセットで考える
「査定額」「売却希望額」「最低売却価格」を割り出したら、それらはマンション売却のスケジュールとセットにしておきましょう。
売り主であるあなたの都合として、いつまでに売れなければならないという期限がある場合と、時間がかかっても高く売りたい場合とでもセットの仕方が変わってきます。
①期限がある場合
例えば、一戸建てへの買い替えのため3か月後には売却したいという期限がある場合で、査定額は2600万、売却希望額は2720万、最低売却価格を2520万とすると
売り出しは、値引き交渉があることを考え、あえて希望額の2720万で開始
↓
2週間後:反応がなければ2680万に値下げ
↓
1か月後:査定額の2600万に値下げ
↓
2か月後:2580万に値下げ
↓
2.5か月後:2520万に値下げ
といったように、スケジュールとその時の価格を決めておきましょう。
どのタイミングでどれくらいの値下げをするかは、実際の内覧者数などで調整することになります。
また、中古マンションは、売却開始してから2週間以内にどれくらいの内覧者が現れるかが、価格見直しもしくは販売戦略の見直しのマイルストーンになります。
仲介の不動産会社が活発な販売活動をしてくれているにも関わらず内覧者が少ない場合には、売却価格の見直しをする必要があるでしょう。もちろん納得のいく理由でない限り簡単に値下げに応じてはいけません。また、より積極的にオープンハウスを実施してもらうなど販売活動を見直すこともできます。
また、値下げをする場合も、短いスパンで値段を下げてしまうと、もっと下がるのではないかと様子見をされてしまう可能性があるので、どのタイミングで値下げを行うかはよく相談しましょう。
②時間がかかっても高く売りたい場合
特に期限がなく、できるだけ希望金額で売りたい場合は、3か月から半年くらいのスパンで価格や販売戦略の見直しをするのがよいでしょう。3か月は媒介契約期間のスパンでもあるので、場合によっては価格だけでなく仲介の不動産会社との契約を見直すことも考えられます。
注意すべきは、チラシや広告媒体にずっと載っていると「売れ残り物件」という印象を与えてしまうので、期限がないとはいっても、購入希望者との兼ね合いなどで時には値下げに応じるなどして自分の納得のいく金額の幅で売り切ることも重要です。
査定は複数社から取ること
以上、売却価格設定のプロセスについてご説明してきましたが、不動産会社の査定価格通りにする必要はないものの、やはり売却価格決定のベースとなります。
また、査定価格は不動産会社によって異なりますので、必ず査定は複数の会社から取るようにしましょう。
査定を取る会社は、物件の地域を得意とする・マンション売却に長けた会社にすべきです。
そのような会社を自分で探し出すのはなかなか大変です。
そこで、おすすめするのは不動産一括査定サイトの利用です。
不動産一括査定サイトでは、物件の地域を担当する不動産会社の一覧から複数の会社を選んで、物件の条件などを入力するだけで一括で査定の依頼ができます。また、物件に合った(マンションならマンション売却に長けた)不動産会社が揃っています。
ただし、あまりたくさんの会社に査定を依頼すると、査定結果の吟味が大変になります。3社前後に依頼し、納得がいかなければ再度別の会社に依頼してもいいでしょう。
複数の会社に査定を依頼すると、営業の電話が頻繁にかかってきそうで心配な場合も、例えばイエイではクレーム対応や査定は依頼したものの断りたい場合の代行を行ってくれます。
不動産一括査定サイトの利用については「おすすめの不動産一括査定サイト」を参考にしてください。
一般的に、不動産(マンション)の売買には、専門家による判断が必要になる場面が多いので(宅地建物取引業に則る必要がある)、不動産会社に仲介を依頼することになります。
よって、不動産会社の選択は重要です。
一括査定サイトの利用を足掛かりに、ベストなパートナーを探しましょう。
不動産会社の選び方については、「マンション売却の不動産会社選びガイド」を参考にしてください。