不動産会社に支払う「仲介手数料」

マンション売却には、様々な「お金」が絡んできます。
入ってくるものとしては、売却が叶った結果の「売却代金」だけではなく、途中で売却金額の一部である「手付金」が入ってきます。また、売買契約では不測の事態に対しての「違約金」についても定められます。
また、入ってくるだけではなく、様々な費用を支払わなければなりません(概略は「マンション売却に必要な諸費用」参照)。

まずは、マンション売却に必要な、代表的な費用である、仲介の不動産会社に支払う「仲介手数料」についてみていきましょう。

仲介手数料は、売買契約が成立して初めて支払うもの

仲介手数料とは、不動産会社が行う仲介業務に対して支払うものです。
売買契約が成立して初めて不動産会社側に仲介手数料の請求権が発生すると法律(宅地建物取引業法)にて定められています、
よって、売買契約が成立するまでは、原則として不動産会社に仲介手数料を支払う義務はありません。
また、契約が無効・取り消しになった場合も宅建業者は報酬(仲介手数料)を請求することはできないので、支払う必要はありません。
このように、仲介手数料は全くの成功報酬となっています。

仲介手数料には上限がある

また、仲介手数料には宅地建物取引業法によって「上限」が定められています。

国土交通省告示 「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」2014年2月28日 国土交通省告示第172号によって改正(2014年4月1日施行)

不動産の売却金額を元に仲介手数料の上限を計算し、その上限を超えない範囲で仲介手数料を決めることができます。
一般的には、仲介の不動産会社は上限の金額を仲介手数料としますが、場合によっては、上限より低い仲介手数料にする不動産会社もでてきます。
ただし、それには理由があるはずなので、仲介手数料が安いからといってよいわけではありません。

仲介手数料の上限額の計算方法

それでは、実際の上限額の計算方法ですが、
不動産の売却代金によって、以下の範囲毎に計算が行われます。(2014年4月1日施行)

①売却代金が200万以下の部分についての計算 : 代金の5.4%以内
②売却代金が200万円超400万円までの部分についての計算 : 代金の4.32%以内
③売却代金が400万円を超える部分についての計算 : 代金の3.24%以内

例えば、売却代金が消費税抜きで2000万円の中古マンションの場合、

  • 200万円以下の部分 → 200万円×5.4%=108,000円
  • 200万円超400万円までの部分 → 200万円×4.32%=86,400円
  • 400万円を超える金額 → (2000-400)万円×3.24%=518,400円
    上記の合計:712,800円←これが仲介手数料の上限額です。

注意)不動産の売却価格については消費税を抜いたものを元に計算します。仲介手数料には消費税が含まれています。例えば①の5.4%は5%+消費税で5.4%となります。

上限を超えた仲介手数料を請求されたら?

仲介手数料は、不動産会社が行う仲介業務に対して支払うものです。
よって、媒介契約を結ぶときには、しっかりと仲介業務の内容を確認することが必要ですが、一般的に不動産会社が仲介業務で提供するサービスは、

  • 物件調査と価格査定
  • 売り出し価格決定の支援
  • 広告宣伝
  • 購入希望者の探索と条件交渉
  • 購入希望者の現地案内
  • 買い主への重要事項説明
  • 売買契約の締結
  • 物件の引き渡しおよび代金・費用の決済のサポート

などです(一例です。詳細は媒介契約時に確認してください)。
これらの仲介業務にかかる費用が、売買契約が成立した際に請求できる仲介手数料に含まれています。

例外としては、売り主の特別な依頼に基づいて行った特別な広告費や、売り主の依頼によって遠隔地の購入希望者との交渉のための出張費などの実費については、仲介手数料とは別に請求できることとなっています。
ただし、あくまでも「売り主の依頼であること」「通常の仲介業務では発生しない費用であること」「実費であること」に限られます。

よって、売却代金の上限を上回る仲介手数料を請求された場合は、通常の仲介業務であるはずの費用が別計上されていないか確認しましょう。

また、販売活動の途中で、特別な広告方法を提案されたなどの場合も、仲介手数料の範囲内かどうか確認したうえで同意するよう注意しましょう。

なお、一般的な広告宣伝方法としては、
・チラシの作成と配布
・店頭での物件掲載
・インターネット上の不動産広告サイトへの掲載(自社、他社、レインズなど)
・オープンハウスの実施
などが考えられますので、不動産会社に仲介業務の内容を確認する際に、広告宣伝方法については具体的に確認するようにしましょう。

こんな不動産会社には注意しよう

仲介手数料については、上限額を超えない範囲で決めることになっていますので、上限額より少ない金額を提示してくる不動産会社もあります。が、あまりにも少ない場合は注意が必要です。納得できる理由があって上限額より少ないのか、仲介業務内容が不足していないか、この業務は実費、あの業務も実費などとなっていないか。また、売買契約が成立しなくても実費は支払うこととなっていた場合などは、取引すべきではありません。

上限額の説明をあたかも一律であるかのように説明する会社も要注意です。

また、仲介業務の内容を詳細に説明してくれなかったり、特に広告宣伝方法があいまいな場合は、発生する広告費等を仲介手数料以外として別途請求されないよう注意しましょう。

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