中古マンション売却の手続き 決済~引き渡し
決済とは、買い主から売買代金の残金を受け取り、物件の所有権を移転することです。
売買契約を締結すると、売り主には、所有権移転と物件の引き渡しなどの義務が生じます。
(契約書で約束した期日通りに、これらの義務を果たさないと、債務不履行(約束違反)で違約金の支払いを求められることもあります。引っ越しの日程の変更など気をつけましょう。)
そして、売却代金の残金受け取り、物件の引き渡し/所有権移転登記の完了で、マンションの売却手続きが終了します。通常、残金の決済と物件の引渡しは同時に行われます。
残代金の決済、引き渡しについては、一般的に、「物件の確認」→「登記関係書類の確認」→「残代金の受領」→「各種負担金の精算」→「鍵・関係書類の引き渡し」→「諸費用の支払い」といった流れで行われます。
これらを1日で滞りなく行うために、売り主として事前にしっかり準備しておくことが大切です。
決済・引き渡しまでに準備すること
決済日(残代金の受領日)までに、売買契約時に約束した状態で、買い主に引き渡せる状態にしておかなければなりません。
売り主が行っておくべき準備としては、
・引っ越し
・書類の準備
・抵当権抹消の準備
・所有権移転の準備
・その他(公共料金の精算準備など)
です。
【引っ越し】
・原則として、引き渡しまでに退去を済ませましょう。
・什器・備品等の付帯設備の引き渡し条件を確認の上、準備しましょう。
・また、ガス・水道・電気等の公共料金の精算についても、準備します。
引っ越し後、売買契約時に作成した「物件状況等報告書」や「付帯設備一覧表」の記載内容と違っているところがないか、最終確認をしてください。記載内容と異なる場合は、売り主に修復の義務が発生することがあります。
※引き渡し・引っ越しのスケジュールについて
決済・引き渡しの日程については、一般的に売買契約時に決定しますが、その際、引っ越しのスケジュールを考慮して決めるよう、注意が必要です。
買い替えの場合、先に新居に引っ越してから引き渡しを行うのがスムーズです。しかし、実際には売却代金を受け取ってから、新居の購入手続きを行う場合も多いので、引き渡しの前に引っ越しを行うには、一時的に仮住まいをするか、「つなぎ融資」を受けて新居を購入するなど余分な費用が発生する可能性があります。よって、売買契約時に「引き渡し猶予」(決済後、引っ越しまでの数日間、買い主に引き渡しを待ってもらう)を付けることが可能か、事前に不動産会社に相談しておきましょう。
【書類の準備】
引き渡しまでに準備する書類は、
・権利証(登記済権利書または登記識別情報)
・実印
・印鑑証明書(発行3か月以内のもの) ※権利者全員分
・住民票
・固定資産評価額証明書
・仲介手数料の残金
・登記費用(抵当権抹消登記・住所変更登記など)
・領収書(残代金や各種費用の精算時に買い主などに渡すため。不動産会社が用意してくれる場合あり)
・物件の鍵、マンションの管理規約、パンフレット、設備の取扱説明書等、買い主への引き継ぐべきもの一式
といった書類です。特に権利書を紛失した場合には、手続きに時間がかかりますので、いずれも早めに準備して不備のないようにしておきましょう。
【所有権移転登記の準備】
一般的に登記申請は司法書士に委任します。決済・引き渡しの当日に所有権の移転も行いますので、不備がないか確認してください。
一般的に所有権移転に必要な書類は
・権利証(登記済権利書または登記識別情報)
・固定資産評価額証明書
・印鑑証明書(発行3か月以内のもの) ※権利者全員分
・登記原因証明情報→これは、登記所が売買があった事実を確認するための書類です。売買の事実を証明する書類が必要です。売買契約書(及び領収書)を提出したり、登記専用に必要事項を記載・当事者が記名押印した登記原因証明情報を作成します。これについては、不動産会社もしくは司法書士が用意しますので、決済・引き渡し当日に作成・確認するものです。
以上、不動産会社(または指定の司法書士)に必要な書類を確認し、契約書で約束した期日までに確実に所有権移転登記できるよう、漏れのないように準備してください。特に権利証を紛失してしまった時などは、特別な手続きが必要になるので、極力早く準備しましょう。
【抵当権抹消の準備】
売却物件に住宅ローンが残っている場合は、抵当権が設定されています。 売買が完了し、売り主から買い主へ所有権を移転するには、抵当権が抹消されている必要があります。売却時には住宅ローンが完済されていて、すでに抵当権が抹消されていれば必要ありませんが、一般的には売却代金で住宅ローンの残債を返済するケースが多いでしょう。その場合、決済の当日に抵当権を抹消し、所有権の移転まで行うことになりますので、何が必要か把握しておくことが重要です。
抵当権抹消に必要な書類は、こちらの記事「中古マンション売却の手続き 抵当権抹消」にも書いた通り、以下のものになります。
①登記原因証明情報
②登記識別情報(または登記済証)
③抵当権抹消登記委任状
④資格証明書
①~④については、住宅ローンが完済された際にローンを組んだ金融機関から送られてくる書類です。決済当日に住宅ローンを完済する場合には、買い主から残金が入金されたらすぐに抵当権抹消手続きに必要な書類を出してもらいます。
⑤抵当権抹消登記申請書
⑥登録免許税の台紙
⑤~⑥については、自分で用意する書類になりますが、恐らく司法書士が用意してくれる書式に、当日、必要事項を記入することになるので、どんな内容なのか、こちらの記事「中古マンション売却の手続き 抵当権抹消」で確認しておいてください。
【その他】
決済・引き渡しの当日には、公租公課(固定資産税や都市計画税)や、公共料金、管理費などの精算を行います。売買契約にて定めた費目について、精算の計算元となる税額や料金がわかる領収書等を準備しておきましょう。
残代金決済、引き渡し当日
決済については、平日の午前中に行うのが一般的です。それは、残代金の授受・鍵の引渡しを行い、当日中に法務局に所有権移転登記等の申請を行うため、役所が開いている時間に済ませなければならないからです。
決済の場所は、一般的に買い主が場所を指定することになっているため、買い主がローンを利用する場合には、その金融機関で手続きを行うことが多いでしょう。
残代金の決済、引き渡しについて、一般的には、以下の流れで行われます。
物件の確認→登記関係書類の確認→残代金の受領→各種負担金の精算→鍵・関係書類の引き渡し→諸費用の支払い
【物件の確認】
決済に先立ち、売り主、買い主、不動産会社が立ち会って、物件の最終確認を現地にて行います。
付帯設備の引継ぎなど、契約書に定めた通りに引き渡しが行われるかを事前に確認します。
【登記関係書類の確認】
所有権移転登記の申請に必要な書類を司法書士が確認します。一般的に司法書士は買い主が選ぶことができます。それは、書類がそろっていると偽って買い主にお金を支払わせることのないようにです。しかし司法書士を知らない場合が多いので、買い主側の不動産会社が紹介するケースが多いです。
なお、必要な書類が揃っていなければ決済を中止し、買い主はお金を払わないということになります。
売却物件に住宅ローンなどの抵当権がついている場合、残りの債務を一括返済して、抵当権を抹消した後、所有権の移転を行うことになりますので、手順が一部異なってきます。
【残代金の受領】
買い主から売り主に残代金を支払います。
預金小切手で授受するケースもありますが、銀行振り込みで残代金を授受することが一般的です。
買い主が住宅ローンを利用する場合などは、ローンの申し込みをした金融機関にて手続きを行います。
売り主は領収書を発行します。領収書の用紙は不動産会社が用意するケースがほとんどです。なお、個人の資産を売却する場合、反復継続した営利目的の売却ではないので、領収書に印紙は不要です。
残代金授受の完了と同時に、売り主・買い主は委任状にサインの上、所有権移転、抵当権の抹消等の登記申請を司法書士に委任します。
【公租公金等の精算】
固定資産税や管理費等の清算を行ないます。
引渡し前日までは売り主側の負担、当日からは買い主側の負担での日割り清算が一般的です。
【鍵の引き渡し・関係書類の引き渡し】
残代金の受領と同時に、売り主から買い主に鍵を引き渡します。
マンションの管理規約や分譲時のパンフレット、エアコン、給湯器など付帯する設備については取扱説明書など、関係書類も買い主に引き渡します。
【諸費用の支払い】
最後に、不動産会社への仲介手数料、司法書士へ報酬などの支払いを済ませます。
【取引完了】
以上で、すべての取引が完了となり、完了した証として、売り主・買い主双方で「取引完了確認書(引き渡し確認書などとも)」に署名・捺印の上、取り交わし、売買契約の全てが完了したことを確認します。
決済・引き渡しでの注意事項
【当日用意するもの】
当日用意するものは、以下です。忘れることの無いよう、十分確認していきましょう。
・権利書
・実印
・印鑑証明書 ※所有者全員の分が各1通必要
・住民票 ※所有者全員分(共有名義者が同じ住所でない場合、それぞれ1通用意する)
・振り込み口座がわかるもの
・本人確認書類(運転免許証または健康保険証)
・固定資産評価額証明書
・仲介手数料の残金
・登記費用(抵当権抹消登記・住所変更登記など)
・領収書(残代金や各種費用の精算時に買い主などに渡すため。一般的には不動産会社が用意。)
・物件の鍵、マンションの管理規約、パンフレット、設備の取扱説明書等、買い主への引き継ぐべきもの一式
【抵当権抹消を事前に行う場合、決済・引き渡しの直前には行わない】
抵当権の抹消には、申請から完了まで数週間かかります。
抵当権抹消の申請を行うと、登記が完了するまでの間、その物件の登記は事件中となり数日間閲覧や別の登記申請ができなくなってしまうので、決済日の直前に手続きを行うと、その登記が完了するまでは新たに申請が出せなくなり、決済日には買い主に所有権移転ができなくなってしまいます。
決済日までに十分に日数があって、抹消登記の完了が決済日までに確実に可能であれば問題ありませんが、それ以外は決済日直前での登記申請は避けましょう。
【決済方法は振込で】
決済を行う際、金種については、現金、振込、小切手などが可能ですが、振込以外の場合、注意が必要です。
まず、現金の場合、当日金融機関に必要な現金の持ち合わせがあるとは限りません。1000万円を超える場合には必ず指定日に用意してもらうよう事前の申し入れが必要です。
小切手は現金化に時間がかかるので要注意です。売却物件にローン残債があり抵当権が設定されている場合、残代金をもってローンを完済し、当日に抵当権を抹消することになります。残代金を小切手にしてしまうと現金化に2~3日必要になり、当日の抵当権の抹消ができません。よって、抵当権のある物件は絶対に小切手はやめましょう。決済できません。なお、抵当権がすでに抹消されていて問題ない場合に小切手にする際は、銀行保証小切手にしましょう。当座小切手だと不渡りが出る可能性があります。
決済方法としては振込が一番問題がありません。
一般的に振込手数料は売り主が負担しますが、現金を持ち歩く不安もお金を数える必要もなく、現金化の手間もかかりません。
振込で決済を行う場合は、買い主側の金融機関にて場所を借りて手続きを行います。
振込依頼書の依頼人の欄には売り主の名前を記入します。これは、依頼人の欄に記入した人は振込直後に中止が可能なので、買い主が依頼人欄に名前を書いた場合、悪意をもって決済後すぐに中止の申し出をすると、最悪の場合、物件の所有権もお金も手に入らないことになってしまうからです。
なお、振込が完了すると、控えは手元に残りますが通帳での確認には時間がかかる場合があります。