中古マンション売却の手続き 買付証明書(購入申込書)と条件交渉
物件の内覧を経て、購入希望者の意思が固まると、買い主側の不動産会社を通して、買付証明書が提示されます。通常は不動産会社間でやりとりされるので、売り主には自分の仲介担当者から連絡があります。
買付証明書または購入申込書
買付証明書とは、
・物件名(特定できる情報)
・購入希望価格
・支払方法と支払時期
・引き渡し希望日
・その他希望条件
が記載され、購入希望者の署名押印がされたものです。
購入申込書という名称の場合もあります。ちなみに、主に中古物件や仲介業者が介在する取引では買付証明書、新築物件など売主や販売代理業者が直接販売する物件では購入申込書となることが多いようですが、実務上は同じものです。近年は、中古物件であっても「購入申込書」とする場合が増えてきています。
買付証明書は、該当物件を購入する意思があると宣言したものであるので、法的な拘束力はないものの、条件等の折り合いがつけば売買契約を交わす段取りになります。
また、ほぼ同一条件の購入希望者がいた場合は、買付証明書の到着順が優先されます。
問題は、買付証明書に記載されている条件が、売り主が提示している条件と異なる場合です。一般的に買付証明書には有効期限が記載されており、期限までに条件の調整を行い、売却の可否を回答する必要があります。
条件交渉
購入希望者から買付証明書が提示された時点では、一般的には申し込み証拠金などの支払いはなく、提示された買い主側の条件を検討して、売り主が契約の可能性があると判断した場合に本格的な個別交渉が始まります。
また、具体的な交渉は、売り主・買い主双方の不動産会社間で行うのが一般的です。
調整する条件(例)
・売買価格
・手付金の額
・引き渡しの時期
・瑕疵担保責任の期限
・建物や設備の補修を行うか否か
・公租公課(固定資産税や都市計画税)などの精算方法や金額
仲介の不動産会社は、売り主と買い主のそれぞれの希望条件を検討し、これまでの経験などから調整を行っていきますが、売り主としては、単に購入希望者の条件を全て受け入れたり、不動産会社の助言のままに交渉を進めるのではなく 、自分が納得する条件かどうかを慎重に判断しましょう。
特に価格については、互いに譲れないポイントですが、容易に値下げをするのではなく、かといってせっかくの売却チャンスを逃さぬように、不動産会社から市場動向の情報やアドバイスをもらって、最終的には自分で判断することが大切です。また、価格は他の条件と一体で調整することもあります。 たとえば、建物や設備に不具合がある場合、補修を行わない代わりに売買価格を下げるなどといった調整も可能です。
このように、複数の条件を合わせつつ、不動産会社とよく相談して、円滑に交渉を進めましょう。