中古マンション売却の手続き 抵当権抹消

マンションの購入者がみつかり、売買に関する条件も決まって、売買契約書を交わすと、最終的な引き渡しまでのスケジュールに合わせて、引っ越し準備などを行っていきます。
住宅ローンが残った状態での売却の場合、引き渡しの際に、売買代金の決済があって、その代金をもって住宅ローンの返済、抵当権の抹消を行います。
ほぼ同時に行われることが多いので、抵当権の抹消は司法書士にお願いするケースが多いかと思いますが、司法書士にお願いするケースでの準備についてと、自分で抵当権の抹消手続きを行うケースについて、記載したいと思います。

自分で抵当権抹消手続きを行う場合

自分で抵当権抹消の手続きを行う場合の手順ですが、

「管轄の法務局を確認」→「書類を揃える」→「法務局にて申請を行う」→「法務局へ完了の書類を受け取りに行く」という流れになります。

1.管轄の法務局を確認

抵当権抹消手続きは法務局で行います。どこでもいいわけではなく、物件の住所によって管轄の法務局が決まっています。どこの法務局へ行けばよいかですが、金融機関からの書類に管轄の法務局が記載されている場合もありますし、自分で調べる場合には法務局のホームページで調べてください。

2.書類を揃える

■住宅ローン完済時に金融機関から送られてくる資料
住宅ローンを完済した場合には、以下のような抵当権抹消のための資料が送られてきます。念のため、ローンを組んだ金融機関の住宅ローン相談窓口やコールセンターなどに抵当権抹消のための資料の送付を依頼・確認してもいいでしょう。資料のタイトルや内容は、金融機関によって多少異なります。

登記原因証明情報→法務局への申請資料になります。「抵当権解除証書」、「放棄証書」、「弁済証書」など金融機関によって名前やフォーマットが異なります
登記識別情報(または登記済証)→法務局への申請資料になります。封がされた状態で金融機関から送られてきます。封を切らずにそのまま提出するよう注意してください。
抵当権抹消登記委任状→法務局への申請資料になります。金融機関側からの委任状です。自分で申請する場合には、空欄になっている代理人名に自分の住所・名前を記入します。司法書士に依頼する場合は、空欄のまま渡します。
資格証明書→法務局への申請資料になります。「現在事項一部証明書」「代表者事項証明書」「登記事項証明書」などの場合もあり。有効期限は発行日から3か月以内なので、この期限内に申請しましょう。
・抵当権設定契約証書(「登記済」という赤い名刺大の印が押されている書類)や、登記完了証が送られてくる場合もあります。これらは申請資料ではありませんが、念のため持参しましょう。

念のため、すべての書類のコピーをとっておきましょう。封をしてある資料は、開けずに取れる範囲でコピーしましょう。

■自分で用意する書類

・抵当権抹消登記申請書→フリーフォーマットなので、パソコンのワープロソフトなどで、下記の内容で作成・印刷します。自筆で記入する部分はボールペンを使ってください(鉛筆は不可)

——記入イメージ——
「登記申請書」
登記の目的   抵当権抹消
原因      平成××年 ×月 ×日  弁済
抹消すべき登記 平成××年 ×月 ×日受付 第××××号
権利者     ○○市○○区○○○ ×丁目××番××号 建物名××号室  氏名
義務者     東京都○○区○○○ ×丁目×番××号 金融機関名 代理人:代理人氏名
添付資料:登記識別情報または登記済証  登記原因証明情報  代理権限証明情報  資格証明情報
平成 ××年 ×月 ×日申請 ○○地方法務局 ○○局 御中
申請人兼義務者代理人  ○○市○○区○○○ ×丁目××番××号 建物名××号室 氏名 連絡先の電話番号
登録免許税   金           円
不動産の表示

一棟の建物の表示

所在                        ○○市○○区○○○ ×丁目×××番地×××
建物の番号
専有部分の建物の表示
家屋番号
建物の番号
種類                        居宅
構造                        鉄筋コンクリート造1階建
床面積                     ×階部分 ××.××㎡
敷地権の表示
所在及び地番            ○○市○○区○○○ ×丁目×××番地×××
地目                        宅地
地積                        ××××.××㎡
敷地権の種類          所有権
敷地権の割合

———-

記入する内容ですが、

【登記の目的】
「抵当権抹消」になります。
【原因】
ここには完済した日付を記載します。銀行から送られてきた資料に完済日がかかれたものがあります。抵当権解除証書に解除原因が日付と「弁済」となっていれば、その日付が完済日になります。
【権利者】
抵当権設定契約証書の債務者に書かれている人、つまり申請者本人の住所と氏名を記載します。共有名義などの理由で抵当権設定者が複数いる場合には、すべての抵当権設定者の住所・氏名を記載します。
【義務者】
ここには住宅ローンを組んだ金融機関の本店の住所と金融機関名、代表者(代理人)の名前を記載します。たとえば住宅金融支援機構であれば、この主たる住所「東京都文京区後楽~」と「独立行政法人住宅金融支援機構」と代理人の氏名を書きます。
【添付情報】
こちらは、申請に添付する資料の一覧です。登記識別情報または登記済証、登記原因証明情報、資格証明情報、代理権限証明情報と記載してください。また、この4種類の資料を申請書に添付します。
【申請日・申請先法務局】
申請日と申請先の法務局宛先を書きます。例えば、「平成××年××月××日申請 ○○法務局○○支局(出張所)御中」 と記載します。
【申請人兼義務者代理人】
申請人(自分)の住所・氏名を記載します。権利者の氏名・住所と一致している必要があります。また、添付資料の代理権限証明情報(銀行からの委任状)に記載する代理人の住所・氏名も一致していることを確認しましょう。氏名の横に認印を押してください。また、連絡先の電話番号(日中連絡がつく番号)を記載してください。
【登録免許税】
当日金額を確認して記入するので金額は空欄にしておきましょう(金     円の枠のみ記載しておく)。記入はボールペンで行います(鉛筆は不可)。
【不動産の表示】
上記の記載例は、「マンション等の敷地権付区分建物/建物の名称あり」の場合の例です。
登記済証の「不動産の表示」に記載されている内容と同じですので、確認の上、記入してください。

・登録免許税の台紙→申請に必要な収入印紙を買って貼るための台紙です。白紙でも問題ありませんが、「登録免許税 印紙貼用台紙」としてもよいでしょう。印紙の金額については、申請当日に相談窓口にて金額を確認してください。印紙は法務局内で購入できます。2012年時には、土地・建物それぞれ1件につき1000円なので、マンションで敷地権の権利が所有権の場合には、2000円でした。

3.法務局にて申請を行う

さて、実際に法務局に赴いて申請を行うわけですが、まず、不動産登記に関する「相談窓口」に行きましょう。
「住宅ローンを完済したので、抵当権抹消の手続きをしたい」と言えば、書類をチェックして不備があれば教えてくれます

銀行から送られてきた資料の中には、申請後に返却を求められる資料もあるので、その場合は相談窓口にてコピーを取るように言われます。コピーと原本を添えて添付すると、申請後に原本が戻ってきます。また、銀行から原本を戻すよう、指示があった場合は、その旨を相談窓口にて確認してください。

申請書の「登録免許税」項目は空欄になっているので、いくらか確認してその場でボールペンで記入してください。

また、印鑑を必ず持参してください。相談窓口にて、必要箇所に押印したり、割り印を押したりします。割り印の場所など一般の人にはわかりにくいので、相談窓口にて教えてもらうのがよいです。印鑑は三文判で大丈夫です。

なお、相談窓口の受付時間は、9:00-12:00と13:00-17:00で、お昼はお休みなので要注意です。

4.法務局へ完了の書類を受け取りに行く

申請資料の不備がなく、印紙も購入して台紙に貼付したら、書類一式をもって申請を行います。その際、申請完了後の書類の引き取りがいつになるかを書いた「引換証」をもらいます。忘れずもらってください。完了までは2週間から1か月くらいです。
その日以降、法務局にて申請完了の書類(原本を戻してもらう必要があればその書類の原本も)を受け取ります。もしも申請書類に不備があれば、再度修正して申請することになりますが、何もなければこの日にて抵当権抹消の手続きは終了になります。

※抵当権抹消完了までは2週間から1か月かかるので、引き渡し・決済間際に自分で手続きするのはNG
引き渡し・決済間際に、自分で抵当権抹消の申請を行うと、抹消完了できなかった場合、引き渡し・決済のスケジュールに影響が出て、債務不履行(違反行為)として損害賠償を請求されることが考えられます。自分で抵当権抹消手続きを行う場合は、期間に余裕を見てください。

抵当権抹消を司法書士にお願いする場合

上記の通り、自分で抵当権抹消の手続きを行うことは十分可能ですが、マンション売却と同時に抵当権の抹消を行い、所有権の移転(売り主→買い主)まで行う場合には司法書士が行うケースが多くなります。

■必要な書類

上記の住宅ローンを組んだ金融機関から受け取る資料一式に加えて、
・不動産の所有者(売り主)から司法書士への登記の委任状
が必要になりますが、書類自体は司法書士が用意してくれるので、住所・氏名の記入と認印の押印で済むでしょう。

また、
・運転免許証などの本人確認書類
・住民票
などが必要な場合があるようです。住民票については、委任すれば司法書士事務所にて代行してもらえるでしょう(有料)。

■必要な費用

抵当権の抹消にかかる費用は、自分で申請した場合の「免許登録税」に加えて司法書士への報酬となります。
報酬はケースバイケースなので、何とも言えませんが、3万~4万といったところでしょうか。
また、実際は抵当権の抹消だけではなく、各種権利の移転を含めて依頼するので、これら諸費用をいくら見込んでおけばよいのか、不動産会社に確認しておきましょう。

関連記事