居住用のマンションの売却理由で一番多いのは「住み替え（買い替え）」です。そして、多くは住宅ローンが残っているため、売却金をローン返済に充てるケースがほとんどなので、中古マンションの売却活動は居住中のまま行われることが多いです。つまり、居住中のマンションの売却は可能です。

ただ、居住中で売りに出した場合、早く売れるのか？高く売れないのではないかとの懸念を持たれるでしょう。

まず、売却金額ですが、先に引っ越しをして空室の状態にしたからといって高く売れるとは限りません。居住中の室内を内覧されると、部屋の汚れやフローリングの傷が目立って値引きなどを要求されるのではないかと思われるかもしれませんが、空室にしたほうが、壁のクロスや床の傷が目立つ場合もあります。また、査定金額や売却価格は、相場に基づいて決まるものなので、室内の状態（住めないほどのひどい状態なら話は別ですが）によって、金額が大きく変わることはありません。

早く売れるかどうかについては、いかに多くの内覧者に見てもらい、よい買い主との出会いがあるかによります。この点からすると、「居住中」であることは、内覧希望者が遠慮をしたり、気を遣って隅々まで見られないといった点がマイナスになるかもしれません。だとすると、この「遠慮」や「気遣い」せずに内覧できるように売り主側も気をつければよいわけです。

居住中のマンションの売却の注意点は

室内を「清潔に」「広く」「明るく」見せる工夫をする

室内の状態が金額には影響しないといっても、買い主側からするとこの部屋にどのように住むのか夢を描きながら内覧をするのです。「買いたい」と思ってもらうことが重要なので、そのためには、いつ内覧があってもよいように日頃から整理整頓をしておきましょう。

・必ずきれいにしておかなければいけないのはキッチン・バス・トイレ・洗面所等の水廻りです。水廻りの汚れはもっとも印象を悪くします。油汚れや水アカはできる限り落とし、臭いにも気を付けましょう。
・臭いについては、部屋全体の臭いにも気を付けましょう。意外に忘れがちで、住んでいる人にはわかりにくいですが、他人には不快に感じる場合もあるので、換気などするように。特にペットを飼っている場合は気を付けましょう。
・お部屋が明るいと印象がいいだけでなく、広くも見えます。カーテンなどすべて開けて、開放感がある明るい印象になるようにしたり、室内いたるところ（玄関から水回りまで）のすべてのお部屋の照明をつけておきましょう。室温についても、季節に合わせて快適な室温になるように調整しておきましょう。床暖房があるなら、冬にはつけておくといいですね。

その他、内覧準備のポイントについてはこちら→「内覧に向けての準備」

内覧の希望日・時間に都合を合わせる

中古マンションは内覧をしないことには売れません。よって、内覧の申し込みがあれば、できるだけ内覧希望者の希望日・時間に合わせて都合をつけるようにしましょう。
内覧の申し込みは、仲介を依頼した不動産会社の担当から連絡がありますので、いつでも連絡がとれるように、普段出られる電話番号や携帯番号（および携帯のメールアドレス）などを知らせておきましょう。
また、万が一自分が立ち会えない場合には、立ち合いを頼める人をお願いしておくと万全です。
このようにしてなるべく内覧の好機を逃さないようにしましょう。内覧の依頼は断ってはいけません。

アピールし過ぎない

居住中のマンションの内覧で最も気を付けるべきは、アピールし過ぎてしまうことです。
実際、購入希望者が見学しに来るとなると、とても期待が高まって、つい、熱心に物件の売り込みをしたくなってしまいますが、見学者がゆっくり見れないと感じて早々に引き揚げてしまうかもしれません。購入希望者から質問があればよいのですが、売り主側からあれこれ物件のアピールをしすぎるのは逆効果です。

購入希望者が納得のゆくまでゆっくりと見学できるような雰囲気づくりをしましょう。そして、何か質問があれば、すぐに詳しく答えてあげられるようにしておけばよいのです。
学校やスーパー・病院など周辺環境について、答えられるように準備しておくと、買い主にとって、この物件に住むイメージがわきやすいでしょう。

 

もちろん、住宅ローンが完済済みで費用に余裕がある場合は、引っ越しして空室で売却に出した方が、内覧やオープンハウスの日時の調整がつきやすかったり、買い主が自分が住むイメージで気兼ねなく隅々まで見学できるといったメリットもあります。ですが、現実には居住中でマンション売却のケースが多いので、上記を参考に上手に乗り切ってください。