中古マンションの所有権移転と引き渡し
売買契約を締結すると、売り主には、所有権移転と物件の引き渡しなどの義務が生じます。
(契約書で約束した期日通りに、これらの義務を果たさないと、債務不履行(約束違反)で違約金の支払いを求められることもありますので、注意しましょう。)
そして、売却代金の残金受け取り、物件の引き渡し/所有権移転登記の完了で、マンションの売却手続きが終了します。通常残金決済と物件の引渡しは、同時となります。
8-1.引き渡しまでに準備すること
まず、売り主が事前に準備する主なものは以下の通りです。
・登記関係書類
-所有権移転登記の関係書類等(登記を書面申請する場合。権利書、印鑑証明書、住民票、固定資産評価額証明書、司法書士への委任状など)
-抵当権抹消登記に必要な関係書類等
・実印(登記関係書類に押印する)
・登記費用
・残代金や各種積算金等の領収書(口座振込の場合は、振込控えで代替する場合もある)
・建築関係書類、物件の鍵、マンションの管理規約等、買い主への引き継ぐべきもの一式
など
そして、以下の対応が必要です。
■所有権移転登記の準備
・一般的に登記申請は司法書士に委任します。
・契約書で約束した期日までに確実に所有権移転登記できるよう、必要書類を確認し、漏れのないように準備してください。
・特に権利証を紛失してしまった時などは、特別な手続きが必要になるので、極力早く準備しましょう。
■抵当権の抹消の準備
・売却物件に住宅ローンが残っている場合は、抵当権が設定されています。 所有権の移転には、一般的に売却代金で住宅ローンの残債を返済し、抵当権を抹消する必要があります。 よって、抵当権抹消までに必要な手続きと、引き渡しのスケジュールを調整することが重要です。
■現地確認
・原則として、引き渡しまでに売り主、買い主、不動産会社が立ち会って、現地の確認をします。
・付帯設備の引き継ぎ、物件の修復が契約条件になっているときは、引き渡し後にトラブルが発生しないよう十分に確認しましょう。
■引っ越し
・原則として、引き渡しまでに退去を済ませましょう。
・什器・備品等の付帯設備の引き渡し条件を確認の上、準備しましょう。
・また、ガス・水道・電気等の公共料金の精算についても、準備します。
※「引き渡し猶予」で引っ越しのタイミングをずらす。
実際は、代金を受け取ってから引っ越し手続きをすることも多く、その場合は、契約書に「引き渡し猶予」を付ける方法があります。
■その他
・公租公課(固定資産税や都市計画税)や公共料金、管理費などの精算
8-2.売却後の注意(税金等)
売却後の注意点は、譲渡益が出た場合の納税です。
不動産の売却によって得た譲渡益については、譲渡所得として所得税と住民税が課税されます。
ただし、居住用財産の場合、様々な特例や控除があります。
主なものとしては、3000万円の特別控除、買い替えの特例、マイホームを売却した場合の軽減税率の特例などです。それぞれの特例には適用要件があり、重ねて利用できるものと選択が必要なものがありますので、最終的には税務署や税理士に相談しましょう。
※譲渡所得金額の計算方法等については、こちら
※確定申告を忘れずに
不動産の売却によって、譲渡益出た場合の納税や、納税の必要はないが特例の適用を受けたい場合には、売却した翌年に確定申告を行う必要がありますので、忘れずに申告しましょう。